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    「一つ着て見せたらどうです?高間さんにはきつと似合ひますよ」

    徳次は笊を差出した。

    「いや、――わしはそんなこたあ嫌ひだ」

    房一は笑つていた。

    徳次はやつと安心した。さう云はれてみると、なるほどちつとは大きいかなと思つた。持つて来た甲斐があるといふものだつた。

    「ジョン、そら!ウシ!」

    と、練吉が引つたくるやうにとつてしまつた。

    「あれなら、私の方からいゝやうにしときます」

    「ふうん。ひどい奴だねえ」

    「相沢さんも見えないな」

    肉が部厚に盛り上つているために自然と深くできた額の横皺、稍やゝ動物的な感じのする大きな眼玉、近頃その上に髭を蓄へはじめた厚いふくらんだやうな唇、それらのあまり美しいとは云へない部分々々を一つの形にまとめるやうに顔の下半から張り出している円い確しつかりとした案外柔味のある顎――盛子が結婚後最初に覚えたのはこの円い顎だつた。それは房一の顔に調和と落ちつきを与へていたばかりでなく、盛子の胸に何かしら安心と親しみ易さを感じさせた。

    「ところがね、大石さんの銃は、あれはマネスターと云ひましたかね、あのマネスターは立派なんだけどなあ。そのわりにあたらないもんですね」

    「さあ、一つ拝見しませう」

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